subcietyでデザインをしていたノーマンさんに誘われ
当時住んでいた幡ヶ谷のアパートから自転車を飛ばし
恵比寿のMILKというライブハウスに向かった
HIPHOPばかり聴いて
4XLとか5XLのPro ClubのTシャツ着てクラブ遊びばかりしていた僕には初めての光景だった
いくつかのバンドを観た
その中で強烈に頭に残っているバンドが2つあった
一つは当時からストリートファッション誌で何度も目にしていた人物SENTAくんのバンドNUMB
フロアの中心でお客さんが腕や足を振り回している姿が鮮烈で
こんな最高なものがあるのかと驚嘆した
もう一つは当時の僕には全く聴き慣れないバシャーッとした音楽を鳴らすバンドだった
それでもなぜだかうるさいとは感じなかった
ステージの真ん中で長い髪の男が美しく吠えていた
確かに美しいと感じた
そのバンドの名前はagainst one's well
のちのA.O.Wだった
その夜以来ライブという現象に夢中になった僕は
洋服のサイズもXXLくらいに落とし
積極的にライブハウスに足を運ぶようになった
数年後岐阜に帰ってきて、さらに数年後
僕はカメラを持ち出した
撮るのはライブしかない
撮り出した頃から現在まで
僕は当時ステージの上の人達に感じたものを撮りたいという気持ちで撮ってきた
NUMBのステージから飛び出してくるような迫力
鬼気迫る表情や汗
フロアの熱気
そしてagainst one's wellが見せてくれたライブという現象の中で起こる
まるで時間が止まったような美しい一瞬
今でも追い求めているのはあの時の光景だ
今の僕の写真があるのはあの夜があったからだ
ノーマンさん
恵比寿MILK
NUMB
against one's well
僕の原点
あの日視た
あの景色を未だ残せていない
未だ超えるものに出会っていない
先日、A.O.Wがその長い活動に幕を下ろした
僕は横浜にいた
あの日とは名前もメンバーも音楽も変わったagainst one's well
ライブが始まる前
今までに感じた事のない緊張を味わっていた
一枚でも撮れればよかった
完全に我が儘でそこにいた
不安だった
一つのバンドの終わりが僕にどうゆう影響を与えるのか
撮りたいものが無くなってしまうんじゃないかと怖かった
ライブはいつも通りあっという間に終わった
観た事もない15分だった
約10年前
against one's wellは観た事のない初めての景色を僕に見せてくれた
10年後
A.O.Wがあの日観せてくれたものもまた観た事のない初めての景色だった
嬉しかった
しっかりと目と心に刻んだ
一つの歴史が終わった
でもまた新しいものが始まっていく
僕はまだ撮れる
ありがとう
A.O.W