精一杯楽しんだ後
ゆっくりと家路に着く。
家までのおよそ1時間
色々な事を反芻して考えて
そしてどうしようもない不安と寂しさが襲ってくる
現実世界に引き戻される瞬間だ。
毎日できる限りの事をしているつもりでも
どこか逃げていて
どこか守りに入っている
自分の想像通り全力で生きているという実感は全く無く
「いつか」
という言葉を盾にする事も厳しい年齢になってきた。
日々色々な覚悟をしていかなければいけない。
この数年はある種の分かれ目なんだと思う。
全てをカメラに注ぎ込めない僕が
この先一体何を成すことができてどう生きるのか
自分自身が一番ハッキリと見ていなければいけない。
どうにもできないモヤモヤを抱えて家に着いた。
玄関の扉に鍵を差し込み一瞬止まる。
「嗚呼、今日が終わる」
そう思った瞬間、背中越しにキューッという鳴き声。
振り向くとよく太った一匹の狸、目が合う。
まっすぐに僕を見て彼はもう一度キューッと鳴きその場を去った。
僕は鍵を開け家に入る。
明日も頑張ろう。